メドレー平山の中央突破

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#03

「論理とクリエイティブ」

August 29, 2017

August 29, 2017

#03

こんにちは、メドレーの平山です。

なかなか筆が進まず4ヶ月ぶりの更新になってしまいましたが、3回目は「論理とクリエイティブ」というテーマで書いていきます。

組織におけるクリエイティブ

クリエイティブな組織をつくることが企業成長の鍵である。このような話は今では当然のようにきくようになってきました。しかしクリエイティブな組織をつくれている会社は日本にどれだけあるのでしょうか。

今まで大企業や急成長ベンチャーなど様々な組織で働いてきましたが、いずれの組織においても組織母体が大きくなるにつれ、クリエイティブが論理にのみこまれる、そのようなことがどこかのタイミングで必ず起きていたように思います。

より大きな組織を安定的に運営するにあたって、論理をベースに意思決定をするのは当然のことです。しかし組織の色まで論理一色になってしまうとベンチャー企業として大きな問題が発生してきます。

プロダクトをきちんと離陸させた後により速く遠くまで飛ばすための「ギアチェンジ」も重要な要素だと思っています。事業・プロダクト両方にいえることですが「立ち上げる」ということと「成長させる」ということは違う性格のものだったりもします。だからこそ、立ち上げが得意なひとと、成長させることが得意なひとをうまくバトンタッチさせていくことも、プロダクトを成長させていくための組織運営として大事な考えだと思っています。

プロダクトをつくるということ | メドレー平山の中央突破より

前回のブログではこのようなことを書きました。クリエイティブで尖った創業者が世の中に前例の無いものを作り事業を離陸させ、成長させることが得意なひとたちにバトンタッチする。そしてバトンタッチされた人たちが成長を実現させ、その成長結果を投資にまわして更なる新しい流れを作り上げていく。事業を離陸させて成長を実現させることは難しいことですが、その先の新しい流れを作り上げる際にも大きな壁に直面することが多くあるように思います。

一般的に、世の中に前例がない事業やプロダクトを立ち上げる際には論理よりもクリエイティブが重要となり、事業を成長させる際には類似事例を咀嚼しながら論理的に数字を積み上げていくということが重要となってきます。その影響をうけてか、企業が成長フェーズに入ると組織全体の色として論理の色がより濃くなっていく傾向があるように思います。そして、その結果としてクリエイティブの色が薄くなり、更なる先の新しい流れを作り上げる力が弱くなっていってしまう。

ここで注目したいことは、論理というものが排他的で強いパワーをもっていることです。クリエイティブは論理の世界を超越する爆発的なパワーを持っている一方、議論の場だとパワーを発揮しづらいという特徴をもっています。例えば、デザイナーが作るロゴから生みだされるブランド価値や、研究者がつくりあげる新規技術やアルゴリズム、エンジニアが向き合う技術的負債やセキュリティリスク、これらの投資価値を定量的にはかるのは難しく、その結果、論理との議論の場において一般社員であるクリエイターの発言力は相対的に低くなるということは多くあります。また、論理が強い人にとっては論理化できないものについて理解することが難しいこともその流れを増長化させる要因でもあります※1

※1: MBTIのような話でどちらの属性が良い悪いという話ではありません

ベンチャーが成長していく中で、会社が変わっていってしまったいう声とともに昔から在籍していた従業員が辞めていく、そのような話は一般的な組織論としてよくある話であり、大企業で新規事業を生み出すにはどうすればよいか、というのような話にも通じるところがあります。新規事業は勢いのある若いベンチャーにまかせてM&Aにシフトしていくという話もあるかと思いますが、M&A後のPMIを成功させるためには元々の組織の存在意義が問われます。やはり、組織を持続的に成長せるにあたって、どのように組織に色を付けていくかは常に考える必要があります。

世の中に対して新しい流れを生み出していくことがベンチャーの存在価値であると考えると、生み出すことが仕事であるクリエイターの発言力の低下はベンチャーとして大きな組織的問題となりますし、この問題には組織全体として真摯に向き合う必要があります。

では、個々のクリエイター(デザイナー・エンジニア・リサーチャー etc)たちは、このようなことに対してどのように向き合っていけばよいのでしょうか。

論理とクリエイティブの付き合い方

チェスキーの魂はデザイナーだが、兵士の正確さと規律を身につけているのが、ちょっと違うところだ。ゆるいところやぼんやりしたところがない。デザインが彼のコアにあるのは間違いないが、軍事作戦を率いるように訓練されてるんだ」とアンドリーセンは語る。

リー・ギャラガー.AirbnbStory(Kindleの位置No.3580-3583).日経BP社.Kindle版.より

この言葉に今後のクリエイターの働き方のヒントがあるように感じています。

自分は今まで一貫してクリエイターに対してマーケティング、営業、CSなどの事業フロントの領域に対しても踏み込んだ成果を求めてきました。それは、わかりやすい成果が見えないことにはクリエイターの発言力が下がり、結果としてクリエイティブの乏しい組織になり、ベンチャーとしてのアイデンティティが保てなくなるのではという葛藤からきています。

新しい価値を生み出すということは、無から有をうみだす、もしくは既存の仕組みを変革するということであり、それが高度な技術を駆使する場合もあれば、そうでない場合もある。いずれの組み合わせの場合においても、既存の仕組みを徹底的に観察し、既存の論理を疑い、新しい論理を再構築することが必要となってきます。そしてこの新しい論理の再構築こそが、クリエイターに求められているところだと思います。論理をひとつ上のレベルを昇華させるためにクリエイティブを駆使する。

クリエイターというと、芸術家のように独特で個性の強い世界観をつくりあげていくタイプ、職人のように細部を突き詰め磨き上げていくタイプ、の二つにわかれる傾向があるように感じます。そのどちらかではなく、組織論理を理解した上でそれを越境する論理を芸術家のように新しく構想し、職人のように細部に徹底的にこだわりながら作り上げていく、そのような「論理越境タイプ」のクリエイターが今後求められるように感じています。

普段の業務においては組織論理を理解した上で論理的な改善を繰り返していく一方でその論理を常に疑い続けていくこと、このようなことをメドレーのクリエイターには求めています※2

※2: 凡事徹底・中央突破・未来志向というメドレーのバリューにもそのような思いが込められています

医療とクリエイティブ

よく言われることですし自身もこの業界に関わりはじめて思ったことですが、医療は圧倒的にIT化が遅れているように感じます。遅れているというレベルではなく、もはやWeb1.0以前のような状況で、ここ数年のテクノロジーの進化の恩恵が受けられていないように思います。使いにくいシステム、人に依存せざるを得ないシステム、その結果として仕組み化が進まず、本質的な医療価値の向上に最大限フォーカスできていない状態になってしまっている。

医療×インターネットの未来 | メドレー平山の中央突破より

これは前々回のブログで書いた内容からの引用です。医療の世界に携わるようになってからまだ短いですが、医療システムの世界はテクノロジーの恩恵をうけていないこともそうですが、必要以上に複雑になっていると感じることが多くあります。部分的には徹底的に最適化されているが、その集合体としてのシステム全体の最適化が弱い。細かい固有事象が多く存在し、人間がシステムに振り回されているように感じる時が多い。それらは医療の世界にクリエイティブが少ないことによるものではないかと思っています。

以前のインタビューで話したとおり、医師とエンジニアは似ていると思っていますが、決定的に違うところもあるように思います。それは不真面目への寛容さです。

エンジニアの世界には3大美徳として「怠慢(Laziness)」「短気(Impatience)」「傲慢(Hubris)」というものがあるように、基本的にエンジニアはめんどくさがりです。同じ作業をやることを徹底的に嫌います。なぜなら面倒だからです。一方、医療従事者は一般的に人格者で頭の回転も早く面倒なことでも頑張ってこなしてしまう。そのような医療従事者の良い側面が、現状の複雑な医療システムをつくりあげてしまっていると感じることもあります。複雑で真面目すぎるシステムはネジを強く締めすぎた車のようなもので、柔軟性にかけサステイナブルでなくなることは容易に想像できると思います。

そのような医療システムこそ、論理越境タイプのクリエイターが積極的に関わっていく意義があると思っています。医療は、医療政策、法規制、医療現場など、それぞれが持つ論理が絡みあい、既存論理の再構築はなかなか難しいと感じていますが、それらの背景や論理を徹底的に理解した上で、それを否定し再構築できた先にはより合理的でスマートな医療システムが実現できるのではないでしょうか。

このような世界はすぐに実現できることではありませんが、論理を理解した上でその論理を越境した世界をデザインする、そのようなことができる強いクリエイターたちが活躍することが前提となります。

クリエイターたちは論理を越境する強い力をもつよう日々切磋琢磨していってほしいですし、そのような人たちが活躍できる土壌をもっと意識的に作っていければと思っています。

さいごに

ということで、メドレーでは論理を越境していきたいクリエイター(デザイナー・エンジニア・リサーチャー)を絶賛募集しています。興味あるかたはぜひご連絡ください。

補足

今回は抽象的な話で何が言いたいのか伝わりづらかったかと思います。以下のコンテンツが近い話を語っていると思いますので、合わせて読んで頂けるとよいと思います。

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平山 宗介

SOSUKE HIRAYAMA

2005年日立ソフトウェアエンジニアリング株式会社入社。未踏ソフトウェア創造事業に採択され、グリー株式会社に転職。その後フリーランスなどを経て、株式会社リブセンス入社。CTOとして組織拡大やサービス開発の責任者を務める。2015年より株式会社メドレーに参加し、取締役CTOに就任。